人はなぜ、なにかの理由をつけてお金を払い、食べて、結果として太ったと気にするのだろう。
その反動で自分を責め、今度はまた別のところにお金をかけて、サプリやエステで「楽」を買う。
会費だけ払っているジムの会員証を財布に入れ、運動したつもりになる。
そのあと、決まって「お金がない」と言う。
不思議な光景だな、といつも思う。
太るとき、人は怠けているわけではないはずだ。
今のしんどさを、一瞬だけ和らげたい。それだけの防衛行動だ。
疲れたから甘いもの。忙しいからコンビニ。
どれも、自分を守るための小さな一歩なんだろう。
痩せようとするときも、根っこは同じだ。
「今の自分をどうにかしたい」という切実な願い。
ただ、多くの場合は方向がズレている。身体という資本に目を向ける前に、外側から何かを足したり、機械に頼ったりすることばかりに目がいってしまう。そんな弱った心につけ込んでくる業者も、残念ながら後を絶たない。
「これを飲めば」「これをすれば」。
変化を求める気持ちは分かるが、自分の身体そのものを置き去りにして、本当に望む結果が手に入るんだろうか。
本当は「お金がない」わけではない。
ただ、自分の身体を一番に優先する価値観が、どこかで遠のいていただけ。
……なんてことを、会話中にふと思うことがある。
もちろん、目の前の人には言わない。
本当のことは、耳で聞くより、身体で感じ取ってもらうのが一番だから。
今日もまた、目の前の身体と向き合うだけだ。





